食べ物と私

食べます。

妹とビールと

妹が家にやってきた。

大きなキャリーバッグを引きながら、我が家の門を叩く。

めちゃめちゃ金髪になっていて驚く。

ちゃんと手入れされている、綺麗なギャルっぽかった。

 

妹が成人して初めて会う。

行きたいお店を調べてくれたらしく、何個か候補を挙げてくれた中で一つ、予約だけはしておいた。

 

久々の外、人混み。

結構疲れてしまうので時々妹の腕に寄りかかりながら進む。

盆が過ぎたからだろうか、いつもに比べると人自体はそこまで多くなかったが、それでもここ数日一人で暮らしてきた人間だ。

ちょっとくらいは死にそうになる。

 

一方で遠方からきたはずの妹はまだピンピンしていた。

一日中立ち仕事でお金を稼いでいるだけある。

私は妹のようには一生なれない。

 

午後五時、予約した時間にお店の入り口で待つ。

何組かの女性達が列を作って待っていた。

入口が少し隠されているから、多分その店と知らないと絶対に見つけられないような場所。

妹がインスタグラムで探してきてくれたお店だ。

私じゃ多分、一生見つけられなかったお店。

 

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クラフトビールが有名なお店らしく、よく分からないまま注文する。

手前にあるのはポテトサラダだ。

ビールはかなりフルーティな香り。

実を言うとクラフトビールの定義は曖昧なのだが、まぁ美味しければなんでもいいだろう。

ポテトサラダはツナが入っているのか、ポテトサラダらしからぬ上品な味で嬉しかった。

 

昔、妹の方が可愛くていいな、と、母親に漏らしたことがある。

ハーフっぽいと言われる妹。

私より勉強も運動もできて、友達も多そうな、客観的に可愛くて細い。そんな妹に少しだけ嫉妬していた。

 

姉妹、どうにもならないもの。

私にないものはないので、それ以上考えても仕方がないのだが、幼い頃の私にそんなことが飲み込めるはずもない。

 

ただ、妹も同じように私を羨ましく思っていたらしいことは、結構最近知ったことだった。

 

父と母から貰った予算があり、お金は気にしなくていいからという文言のもと、沢山食べる。

結局会計は八千円を超えていて少しビビったけど。

 

妹は今、就職先を決め、私はまだ路頭に迷っている。

今はもうそこに劣等感は感じないが、少しだけ実家に帰るのが嫌だ。

皆が皆、そのままの生き方で納得してくれればいいけど、きっと私の両親はそうはいかないから。

 

アルコールで楽しくなったまま、帰路を目指す。

何はともあれ、今は私達は私達のままでいられればいい。