食べ物と私

食べます。

餃子の王将、人の距離

同期の人とご飯に行こうという話になった。

私から誘うのは珍しいような気がする。

でも二人で食事してみたいなと思っていた。

 

お腹空いたねとか、たわいもない会話をしながら店を目指す。

彼女と話す時に高揚感はない。でも、何だか同期の中では一番彼女に言葉が通じているように思う。

 

数分歩いて、来たのは王将。

テンションが上がったまま、適当に注文を済ませる。

テーブルに並んだ料理が圧巻だった。

二人分である。

 

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さすが王将、全部の料理で味が濃い。

しかもビールは50円引きときている。嬉しい。

あんまりお互い遠慮せず、パクパクと食べて色々なことを話す。

 

普段からおかしいと思ってること、ちょっとした不安と、色んな不満。

私達は穏やかそうでそうでもないし、いい人そうでとんでもない。

 

一番最初に同期の子と食事した時も、王将の天津炒飯をテイクアウトした気がする。

どうやらそれ以来この天津炒飯が気に入ったみたいで、随分喜んでいた。

 

私は彼女のことをあまり知らない。

思うに、人を知るのに二年間はちょっと短いのだ。

いや、人によっては長すぎるくらいなのかも知れないが、私は一年とかそこらじゃ全くもって心を許せない。

だから、本格的に仲良くなるのは五年以上はかかる気がする。

 

そんなわけで、別に彼女が嫌とかそういう理由はないけど、多分自然に卒業したら会わなくなるんだろうなと思う。

でももしかしたらこれが私たちのちょうど良い距離でもあるのかも知れなくて。

 

多分、それが不毛だって言う人も沢山居るだろうなと思う。

浅いまま通り過ぎていってしまっている自覚はあるのだ。

それがもったいないと思う時だってあるけど、大概は一時的な後悔でしかない。

 

私がもっと手を伸ばせたら、何か違ったのだろうか。

二年目で誘うんじゃなくて、最初からもっと王将や安いファミレスに通えていたら、彼女とももっと仲良くなれただろうか。

 

ちょっとそんなことを考えてみるけれど、すぐにやめた。

大切なものを増やして大切なまま抱えていけるほど、私はできた人間じゃない。

出来ないことはやってはいけない。

 

結構な満足感を得たのに、一人2000円くらいで済んでしまって驚く。

帰り際、最近あまり笑わなくなったと彼女は呟いた。

何だか胸が痛くなる。

 

笑えることは素晴らしいかも知れないけど、笑わないことが選択肢に入っていることも重要だ。

けど、彼女にはできるだけ笑っていて欲しいし、幸せであって欲しい。

 

そんな独りよがりなことを思って、改札を出た。