食べ物と私

食べます。

烏滸がましいな、トマトツナ

朝早く起きて、水筒に水を準備して、着替えて、化粧を済ませて。

 

そろそろ行かなきゃな、なんて思っている時に一通のメールが届く。

たった数行のそのメール。それで今日の私の予定は無に帰った。

 

嬉しさ半分、苛立ち半分で颯爽とシャツを脱ぎラフな格好に着替える。

こういうことは珍しくないとはいえ、やはりちょっと調子を崩される。

 

前もって休みだと分かっていたら化粧なんてしなかったのに。

そもそもこんなに早く起きなかった。というか昨日の夜、もうちょっとお酒を飲めたのに。

 

そんなくだらない後悔をしながらベッドに寝転がってスマホをいじる。

一気に予定が崩れると、途端に何をしていいか分からなくなる。

本の一冊でも読めばいいのに、ベッドの上でスマホをいじってしまうから、うつらうつらと瞼が重くなっていく。

 

結局、寝て起きて、寝て起きてを繰り返していたら、いつの間にか日は暮れてしまっていた。

何度目かの起床、すぐにスマホをいじりながらぼーっと頭を空にする。

こんなことをしているから、毎週末に表示されるスクリーンタイムの時間は毎回えげつない。

完全に推しとスマホの依存症となりつつあるが、人に依存していないだけいいのかなと思う。

どうせ自分が軸では生きている意味なんて見いだせないのだ。

 

そして、こんな怠惰な生活をしていてもお腹は空く。

のっそりと起き上がり、冷蔵庫を眺める。

目に入った赤い野菜におっ、と思う。

そういえば、仕送りでミニトマトが届いたのだった。

 

ちょっと調理でもしてみようと、一つ一つトマトのヘタを取って洗う。

柔らかくなっているものを食べてみれば、熟しきっていたようで、信じられないくらい甘くなっていた。

 

常備している……というか前に仕送りで届いた、そして今回も届いていたツナ缶を1つ開ける。

切ったミニトマトに、油を切ったツナ缶を混ぜ、そこに鶏がらスープの素、胡椒、、レモンをいれて混ぜる。

これで完成。なんか美味しいやつだ。

 

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一口食べてみると、本当にトマトが甘い。

ツナ缶との相性もよく、なんとなくオシャレな味付けになっているような、いないような。

 

しかし、改めて考えてみると私は生かされているな、と思う。

こうして人の金で一人暮らしをして、食料の供給を受け、何不自由なくて。

 

こんなので死を願っているなんて、聞く人が聞いたら怒ったっておかしくない。

人と比べることはないと、それは分かっているつもりなのに、やっぱり後を引くような罪悪感がぬぐえない。

 

何だか烏滸がましくて、ちょっと恥ずかしい。

 

タッパーをとじ、トマトとツナを仕舞う。

恥の多い生涯を送ってきました、なんてね。

ふたの開いた瓶ビール

目の前にあるのは瓶ビール。

ちょっと頭を悩ませる。栓抜きが無いのだ。

 

数か月前の誕生日、妹からビールのギフト券を貰った。

忙しくて放置していたが、先日ようやく引き換えたのだ。

選んだのはドイツのビール。3本セットでちょっとテンションが上がった。

 

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しかし、いざ飲もうとして問題が発生。

あると思っていた栓抜きが姿を消した。

でも、この日はビールが飲みたくて。そして家にあるのはこの瓶ビールたちだけだった。

 

悩む。悩んだ末に、検索をかけた。

グーグル先生は何でも知ってるし、何でも分かり易く教えてくれる。

手にしたのはプルタブと割りばし。どうやらこの二つで開けられるらしい。

 

プルタブの付け根を蓋の端にひっかけて、取っ手の部分に割りばしを刺す。

あとはよく聞く、てこの原理だ。

 

ぎぎぎ、と割りばしを持ち上げるように力を込める。

瓶を抑える側の手にも力を込めていないと、瓶ごとどこかへ飛んで行ってしまいそうでちょっと焦る。

 

夜、一人の部屋で瓶ビールを前に力を込め、固まっている。

なかなかシュールだと思っていたところ、シューっと炭酸の抜けるような音が聞こえ始める。

おっ、と思ったのも束の間、ポンッ!といきなり右手が軽くなる。

びっくりして思わず声が出た。ようやく蓋が空いたのだ。

 

せっかくだからグラスに注いでビールを飲む。

名前は『ホフブロイ・オリジナル』。泡がクリーミーだった。

 

泡とビールが4:6になってしまうような下手な注ぎ方をして、一口。

結構さっぱり目の味だった。苦みが強いけど、すいすい飲んでしまえるような。

 

そういえば先日、友人iと飲んでいた時、元カレからラインが来た。

もちろんろくな返事をしなかったが、彼女に指摘されて気が付いたこと。

 

それはここ数日の元気が、薬からじゃなくて別れからきているんじゃないかということだ。

確かに、と思ってしまう。

友人Iにも言われたが、前に比べて私は最近元気だ。

 

私はもともと器の大きな人間ではない。

それでも狭い心のままじゃ何かと嫌な思いをさせてしまうから、嫌な思いをしてしまうから、器を広く見せている。

 

例えば、この3本セットのビール。

もし私がまだ付き合っていたのなら、きっと1本くらいは彼氏にあげていただろう。

別にあげたくなくても、だ。そうするべきだと思ってしまうから。

 

今、私は一人、滑稽にも瓶の蓋と死闘を繰り広げ、金色の液体を傾けている。

捉え方は人次第だろうけど、どちらが私自身に正直かで言えば、答えは明白だった。

 

少しの我儘と横暴さ。

いいか悪いかは別として、そんな感情にだってたまには忠実にならないと、私は私を忘れてしまうのかもしれない。

 

冷蔵庫で冷えているあと2本のビール。

今度飲むときは、ソーセージでも買ってみようかと思う。

褒められドーナツ

家に帰るとドーナツがあった。

 

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当たり前だ。昨日買って帰ったから。

写真は2つだが、1つ、エンゼルクリームの方は朝ごはんに食べてしまったので、実際にあったのはほうじ茶味のオールドファッションだけだけど。

 

時間が安定しないから、上手くご飯を食べる隙が無い。

だからこの日も家に帰ったら腹ペコだった。

机に着くなり、紙袋を破ってお皿にしてコップに水を灌ぐ。

本当は緑茶なんかがあればいいのかもしれないが、生憎お茶を淹れる余裕は残されていない。

ただ、オールドファッションを食べる上で水分は必要不可欠だった。

 

大きな口で、パクリ。

香ばしいほうじ茶をふわりと感じる。しっとりとした生地。

ホワイトチョコとの相性も抜群で、チョコのかかった部分を大事に食べる。

 

今日はちょっと予期しないことがあった。

嫌われている人と2人きりの対談。私は皆が言う程この人のことは嫌いじゃなかった。

だからこそ、ちょっと身構えて、緊張してしまう。

 

だけど。

 

「いいものを持ってるんだろうね」

 

にこやかに笑いながら、その人はそう言った。

いいもの、いいもの。

どう答えていいか分からなくなって、消え入りそうな声で「ありがとうございます」と一言呟いた。

 

この人と話す時は、大体自分についての話になった。きっと本来、そういうものなのだと思う。

だからこの人の話はよく理解できた。

 

そんな人にそう言ってもらえたことが、単純に嬉しかった。

それも、私が欲しかった言葉に近いもので。

 

優越感、高飛車になってしまいそうな醜い自分を抑えて、とりあえず喜びだけを感じてみる。

でもそこに生じる、ちょっとの虚しさ。だって、いいものを私は使わない。

いや、たとえ自分が何もやらないにしても、やっぱりそう言って貰えることが嬉しいことに変わりはなかった。

 

私が何かもっているんだとして、それが人には無かったとして。

きっとそれは私が生きる上で役に立つ反面、私を追い詰めている。

諸刃の剣もいいところだな、なんて。

 

それにしても、言い方は悪いが上の人から褒められる経験は随分久しぶりだった気がする。

これだってある種の呪いのようなものなのかもしれないが、褒められると他にはない喜びを感じてしまう。

低い自己肯定感がそうさせているのか、幼い頃の経験を根強く覚えているからなのか、それは分からないけれど。

 

もし将来、オールドファッションなんて食べられないくらいのおばあちゃんになったとして、それでも褒められることはまだ嬉しく感じると思う。

 

叱られるのが怖くて、褒められるのが嬉しい私は、幼稚なままだろうか。

 

ちょっと窒息しそうな喉を水で潤す。

オールドファッションはまだ美味しい。

 

終わりと乾杯

午後から、友人Iと会う。

なんだか随分久しぶりのように感じた。思えば電話はしていたとはいえ、実際に会うのは1か月ぶりだった。

 

大学の頃によく足を運んでいた商店街、そのカラオケ店に入っていく。

フリータイムは予約が埋まっていたから四時間。ただ歌を歌う時間だ。

いつも通り、歌える曲じゃなくて歌いたい曲を。

 

趣味嗜好が似てるから、大体どの曲を歌ってもお互い知っているのがいい。

間奏が長くても、ラップが歌えなくても、気兼ねなく好きな曲を入れた。

日頃音楽で生きてるのだ。四時間何かあっという間に埋まってしまう。

 

その後は居酒屋で乾杯。なんだか大学生みたいだ。

 

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注文したビールを一気に煽る。

お店のグラスで飲むビールはやはり家とは違う味がする。

 

風景がまさしくそうだったから、カラオケで歌った『頓珍漢の宴』がずっと頭の中で流れていた。

何を話したって誰も聞いていない、煩い居酒屋だからこそ気兼ねなく出来る話を紡いでいく。

 

死に、もしくは生に捕らわれている私達の終わり方について。

私は自殺は出来ないと思う。怖さと申し訳なさがあるから。

 

でも、彼女の話を聴いて、ひとつ考えていた事を思い出した。

確実に死ぬ方法についてなら理想的なものがひとつあるが、もう一つの方法として、包丁を抱いて眠ることを思いついたことがあった。

 

眠る時は生きている。

けれど、目覚めるかはその日の寝相次第だ。

そんな突飛な運に任せてしまえる程、多分私の命は軽い。

 

こんな妄想をしつつ、結局本当に死んじゃったら大変だから実行には移さないのだけドど。

つくづく矛盾した自分だと思う。でも、仕方ないとも感じてしまう。

 

この前、半ば強制的に行かされた講演会の講師。

一言でいえば人生の成功者、という感じだった。

もちろんこれまで苦しかったこともあるのだろうが、それすら今に繋がっていると肯定できてしまう大きな姿勢。

後ろにとてもとても硬く揺るがない自身が見えたような気がした。

 

私も、友人Iも、もしかしてあの自信とやらを身に付ければ、世界は少し優しくなるのかもしれない。

でも、そんなことは不可能だって、きっと私達は深いところで実感してる。

 

大っぴらにするような話ではない。

けれどそんな話をしながら飲む酒は間違いなく美味くて、また矛盾してしまう。

 

明日からの日常。

彼女はまだ頑張るらしい。本当にすごいと思う。

あんまり無理はしないで、と言いたいところだけど、私達は既に無理矢理生きている。

 

別れが惜しくてドーナツ屋さんに寄って帰った。

日々を生きていくために甘いものは必要不可欠だった。

 

雨の中、手を振ってホームに消える。

また会う日まで。

一人で充実、じゃがいもとほうれん草

ちょっと回復してきた休日。

たまには外に出るのもいいか、という気分になってくる。私にしては珍しい。

夕方、15時に着替えを済ませ、マンションのエレベーターを下る。

 

無駄に都会に住んでいるから、どこへ行くにも人がごった返している。

普段はそれだけで疲れてしまうのだが、今日はちょっとした強さがあった。

というのも今日のお目当てはピアス。

そろそろファーストピアスを外そうと考え着いたのだ。

 

しかしその前に誘惑に負け、ヴィレッジヴァンガードアニメイトへ足を運んでしまう。

こんな都会、観光客だらけの街でこの二つのお店を目指してしまうあたり、性が出ている。

結局余計な出費を抱えつつ、お目当てのアクセサリーショップでピアスを選ぶ。

安いで有名なアクセサリーショップだ。

 

たくさんあって目移りしてしまうが、結局選んだのはオレンジ色と青色があしらわれたピアス。二つとも推しの色だった。

 

なんだかオシャレなものを買いに来たはずが、どうにも推しばかりの買い物になっている。それだけ私の人生で推しの占める領域が大きいということだろうが。

 

二本の軽いお酒を買って家に帰る。

最近はタガが外れたように飲んでいる気がする。飲みたい時は我慢するべきではない。

ただ、何もないと胃が死ぬので、ちょっとだけフライパンを使うこととする。

調子に乗るとまた疲れてしまうのは分かるが、今は調理したい気分なのだ。

 

冷蔵庫の底に眠っていたじゃがいもを一口サイズに切って、レンジで温める。

フライパンにオリーブオイルを敷き、そこにじゃがいもと、いつぞやか冷凍していたほうれん草を入れる。

塩でシンプルに味付けようかとも思ったが、思い直してバターと醤油、胡椒をかける。

思いのほかほうれん草がたくさん、名前のない料理だ。

 

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金麦のプルタブを開ける。

この時期は夏、というパッケージのビールが飲みたくなってしまうのだ。

金麦のほかは、クリアアサヒがそうだろうか。

 

ほうれん草とじゃがいもを口に運ぶ。

じゃがいもはねっとり甘くて、ほうれん草はちゃんと健康的な味がする。

胡椒が効いているから、ビールに合う合う。

 

こてん、とベッドにもたれつつ、何となくここ数日の絶望から脱せたことを思う。

何がきっかけで下がるのか分からないから、何がきっかけで上がるのか分からない。

けど、逆らうだけ無駄だということは身をもって知っている。

私は私の感情の奴隷だ。

 

ただ、体のセーブだけは効くので、頑張らないようにはしたい。

例えば今日も、無理して朝から出かけるんじゃなくて、昼、夕方から街に出てみたり。

そういう小さいことがきっと私を守ってくれるから。

 

ビールを傾ける。きっとこれも、私の回復方法だ。

偽の休日、フレンチトースト

休んでしまった午前10時。

朝起きる時間は一定の方がいいって誰か言ってたけど、こればかりは仕方がない。

朝ゆっくり起きることは身体には悪いかも知れないけど、心には随分いいことなのだ。

 

結局11時までごろごろとたわいもない動画を見続ける。

ずっと胸のあたりが引くつく感じ、もう泣いていないのに泣き止まない感じ。

うとうとしたままベッドを出る。

今日は窓の外は明るい。久しぶりの静かな日だった。

 

メールの返信があることを確認して、息を吐く。

私より上の立場の人はとても私のことを心配してくれる。

けれど、心配してくれるだけである。

私の性格が悪いんだと思うけど、心配は時に重くなって、ちょっと潰されそうになる。

私のことなんて石のように扱ってくれていいのだけれど。

 

助けてくれなくていいから、妨げないでね。

 

ボウルに卵を1つ、割り入れる。

牛乳と三温糖。色付きの砂糖の方が健康にいいと聞くが、あれは何でなのだろう。

 

パンをつけている間、またベッドに戻って音楽を聴いてみる。

漫画を読まなくなってしまった。小説なんか、随分触れていない。

私が受ける芸術なんて、もう音楽ばかりになってしまった。

 

小さい頃、目が見えなくなるのと耳が聴こえなくなるのだったらどっちを選ぶか、なんて子供ならではの不謹慎なことを考えていた。

珍しく答えが出なかったのは、目が見えなくなると本が読めなくなるから。耳が聴こえなくなると、音楽が聴けなくなるから。

今の私はどうだろう。

 

十分に浸かり切っていないまま、フライパンにバターを広げる。

じゅっとそのままパンを焼いて、フレンチトーストの出来上がり。

 

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いい加減パンのレパートリーがなさすぎるなと考えつつ、それでも美味しいからいいか、と思ってしまう。

 

冬の間に固まってしまったはちみつが、トーストの熱でとろりと溶けていく。

案外パンの中はとろとろで、一日も漬け込まなくていいんじゃないかと思えてしまう。

 

食べ終わったお皿もそのままにベッドに戻る。

何もしなくていいのか。何もしなくていいんだ。

そんな日が久しぶり過ぎて、ちょっと昨日まで無理だったんだと思う。

 

それなのに今日もまた、あそこに行っている同期達は、何故耐えられているのだろう。

ずっとずっと分からないことだ。何もかもが違ってしまう。

 

昨日泣いていた子たちは大丈夫だろうか。

あの子たちも今日、行っているのに、私はこうして休めてしまう。

それが悪いこととは思わないけど、ちょっと呆れてしまう。

呆れる、ということは私はまだ私に期待しているのだろうか。

それはなんだか甚だ滑稽に思えた。

 

カーテンがそよいで、風が入ってくる。

何となく学校を早退した日の午後を思い出した。

心地よさに任せて目を閉じる。私はどこまでも私だ。

 

くらりんオムレツ

明るいうちに、9%のアルコールを引っ提げて帰ってくる。

本当は色々な業務を終わらせて帰ろうと思っていたが、気分が上がらなかった。

こういう日は保てなくなる前に家に帰ってしまうのが吉だろう。

 

明日も早いから、という理由でさっさと風呂に入ってアルコールを流し込む。

ポテトチップスを一緒に食べてしまった。壊したい気分だった。

 

ピリピリしていた。

怖い場所だったように思う。なんだか全員が怒っていたような。

空気に充てられて、疲れてしまう。たった2時間が乗り切れない。

早く帰りたい、帰りたいと願いながら、スマホのキーホルダーを睨むように眺めていた。

 

多分、空気なんかに傷ついていたら、みんなみんな生きていけないのだと思う。

今日も泣いていた、あの子のように。

だから大きな顔をして後ろに座る人たちは、もう何もかも忘れてしまったのだ。

身を護るために忘却は大事なことだと思う。

 

今よりもう数十年生き延びたら、私もそうやって感じなくなっていくのだろうか。

でも、感じなくなったとして、私が生きている意味はあるのだろうか。

 

いよわさんの楽曲、『きゅうくらりん』。

ズレた音程が、何となく昔家の周りをよく走っていた車販売のパン屋さんを思い起こさせた。

 

www.youtube.com

 

なんだか苦しくなってしまった。

私も実況で見たことがあるゲームの女の子をイメージした曲と知って、余計に悲しくなる。

 

歩くのがずっと上手くない。

色んなことに乗り遅れて、ただゆっくり息をしていたいだけなのに。

何でこんなにもそれが難しいのだろう。

そんなことを想っていると、また、泣いてしまった。

 

こういう夜を超えるのはちょっと難しい。

 

知識として、こういう時に空腹と冷たさは駄目だと知っていた。

落ち着いたところで卵を二つ、牛乳、砂糖。チーズを入れながら、焼いていく。

中をトロトロにしようとしたら、ちょっと失敗。溢れてしまう。

私のオムレツ。

 

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インスタントのミネストローネも作る。

スプーンで割ってみれば、中からとろりとチーズが伸びる。

温かくてトロトロで、甘くてしょっぱい。

 

崩れたオムレツを食べながら、また泣けてくる。

ああ。こうやってきっと明日も私は生きられる、生きられてしまう。

 

独りでも案外大丈夫だってこと、というより、誰かがいてもずっと独りだってことは、もうずっと突きつけられた事実で。

でもたまにその事実が、どうしようもなく哀しくなってしまう。

寂しいままだ。みんな、みんな。

 

それでも、ちょっとの休憩のつもりで一通のメールを送る。

これで明日は、眠りにつく。

少しの罪悪感も感じない自分に嫌悪感を覚えながら、それでも私は目を閉じた。