食べ物と私

食べます。

終わりと乾杯

午後から、友人Iと会う。

なんだか随分久しぶりのように感じた。思えば電話はしていたとはいえ、実際に会うのは1か月ぶりだった。

 

大学の頃によく足を運んでいた商店街、そのカラオケ店に入っていく。

フリータイムは予約が埋まっていたから四時間。ただ歌を歌う時間だ。

いつも通り、歌える曲じゃなくて歌いたい曲を。

 

趣味嗜好が似てるから、大体どの曲を歌ってもお互い知っているのがいい。

間奏が長くても、ラップが歌えなくても、気兼ねなく好きな曲を入れた。

日頃音楽で生きてるのだ。四時間何かあっという間に埋まってしまう。

 

その後は居酒屋で乾杯。なんだか大学生みたいだ。

 

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注文したビールを一気に煽る。

お店のグラスで飲むビールはやはり家とは違う味がする。

 

風景がまさしくそうだったから、カラオケで歌った『頓珍漢の宴』がずっと頭の中で流れていた。

何を話したって誰も聞いていない、煩い居酒屋だからこそ気兼ねなく出来る話を紡いでいく。

 

死に、もしくは生に捕らわれている私達の終わり方について。

私は自殺は出来ないと思う。怖さと申し訳なさがあるから。

 

でも、彼女の話を聴いて、ひとつ考えていた事を思い出した。

確実に死ぬ方法についてなら理想的なものがひとつあるが、もう一つの方法として、包丁を抱いて眠ることを思いついたことがあった。

 

眠る時は生きている。

けれど、目覚めるかはその日の寝相次第だ。

そんな突飛な運に任せてしまえる程、多分私の命は軽い。

 

こんな妄想をしつつ、結局本当に死んじゃったら大変だから実行には移さないのだけドど。

つくづく矛盾した自分だと思う。でも、仕方ないとも感じてしまう。

 

この前、半ば強制的に行かされた講演会の講師。

一言でいえば人生の成功者、という感じだった。

もちろんこれまで苦しかったこともあるのだろうが、それすら今に繋がっていると肯定できてしまう大きな姿勢。

後ろにとてもとても硬く揺るがない自身が見えたような気がした。

 

私も、友人Iも、もしかしてあの自信とやらを身に付ければ、世界は少し優しくなるのかもしれない。

でも、そんなことは不可能だって、きっと私達は深いところで実感してる。

 

大っぴらにするような話ではない。

けれどそんな話をしながら飲む酒は間違いなく美味くて、また矛盾してしまう。

 

明日からの日常。

彼女はまだ頑張るらしい。本当にすごいと思う。

あんまり無理はしないで、と言いたいところだけど、私達は既に無理矢理生きている。

 

別れが惜しくてドーナツ屋さんに寄って帰った。

日々を生きていくために甘いものは必要不可欠だった。

 

雨の中、手を振ってホームに消える。

また会う日まで。