食べ物と私

食べます。

ふたの開いた瓶ビール

目の前にあるのは瓶ビール。

ちょっと頭を悩ませる。栓抜きが無いのだ。

 

数か月前の誕生日、妹からビールのギフト券を貰った。

忙しくて放置していたが、先日ようやく引き換えたのだ。

選んだのはドイツのビール。3本セットでちょっとテンションが上がった。

 

f:id:zenryoku_shohi:20220608101813j:image

 

しかし、いざ飲もうとして問題が発生。

あると思っていた栓抜きが姿を消した。

でも、この日はビールが飲みたくて。そして家にあるのはこの瓶ビールたちだけだった。

 

悩む。悩んだ末に、検索をかけた。

グーグル先生は何でも知ってるし、何でも分かり易く教えてくれる。

手にしたのはプルタブと割りばし。どうやらこの二つで開けられるらしい。

 

プルタブの付け根を蓋の端にひっかけて、取っ手の部分に割りばしを刺す。

あとはよく聞く、てこの原理だ。

 

ぎぎぎ、と割りばしを持ち上げるように力を込める。

瓶を抑える側の手にも力を込めていないと、瓶ごとどこかへ飛んで行ってしまいそうでちょっと焦る。

 

夜、一人の部屋で瓶ビールを前に力を込め、固まっている。

なかなかシュールだと思っていたところ、シューっと炭酸の抜けるような音が聞こえ始める。

おっ、と思ったのも束の間、ポンッ!といきなり右手が軽くなる。

びっくりして思わず声が出た。ようやく蓋が空いたのだ。

 

せっかくだからグラスに注いでビールを飲む。

名前は『ホフブロイ・オリジナル』。泡がクリーミーだった。

 

泡とビールが4:6になってしまうような下手な注ぎ方をして、一口。

結構さっぱり目の味だった。苦みが強いけど、すいすい飲んでしまえるような。

 

そういえば先日、友人iと飲んでいた時、元カレからラインが来た。

もちろんろくな返事をしなかったが、彼女に指摘されて気が付いたこと。

 

それはここ数日の元気が、薬からじゃなくて別れからきているんじゃないかということだ。

確かに、と思ってしまう。

友人Iにも言われたが、前に比べて私は最近元気だ。

 

私はもともと器の大きな人間ではない。

それでも狭い心のままじゃ何かと嫌な思いをさせてしまうから、嫌な思いをしてしまうから、器を広く見せている。

 

例えば、この3本セットのビール。

もし私がまだ付き合っていたのなら、きっと1本くらいは彼氏にあげていただろう。

別にあげたくなくても、だ。そうするべきだと思ってしまうから。

 

今、私は一人、滑稽にも瓶の蓋と死闘を繰り広げ、金色の液体を傾けている。

捉え方は人次第だろうけど、どちらが私自身に正直かで言えば、答えは明白だった。

 

少しの我儘と横暴さ。

いいか悪いかは別として、そんな感情にだってたまには忠実にならないと、私は私を忘れてしまうのかもしれない。

 

冷蔵庫で冷えているあと2本のビール。

今度飲むときは、ソーセージでも買ってみようかと思う。