休んでしまった午前10時。
朝起きる時間は一定の方がいいって誰か言ってたけど、こればかりは仕方がない。
朝ゆっくり起きることは身体には悪いかも知れないけど、心には随分いいことなのだ。
結局11時までごろごろとたわいもない動画を見続ける。
ずっと胸のあたりが引くつく感じ、もう泣いていないのに泣き止まない感じ。
うとうとしたままベッドを出る。
今日は窓の外は明るい。久しぶりの静かな日だった。
メールの返信があることを確認して、息を吐く。
私より上の立場の人はとても私のことを心配してくれる。
けれど、心配してくれるだけである。
私の性格が悪いんだと思うけど、心配は時に重くなって、ちょっと潰されそうになる。
私のことなんて石のように扱ってくれていいのだけれど。
助けてくれなくていいから、妨げないでね。
ボウルに卵を1つ、割り入れる。
牛乳と三温糖。色付きの砂糖の方が健康にいいと聞くが、あれは何でなのだろう。
パンをつけている間、またベッドに戻って音楽を聴いてみる。
漫画を読まなくなってしまった。小説なんか、随分触れていない。
私が受ける芸術なんて、もう音楽ばかりになってしまった。
小さい頃、目が見えなくなるのと耳が聴こえなくなるのだったらどっちを選ぶか、なんて子供ならではの不謹慎なことを考えていた。
珍しく答えが出なかったのは、目が見えなくなると本が読めなくなるから。耳が聴こえなくなると、音楽が聴けなくなるから。
今の私はどうだろう。
十分に浸かり切っていないまま、フライパンにバターを広げる。
じゅっとそのままパンを焼いて、フレンチトーストの出来上がり。
いい加減パンのレパートリーがなさすぎるなと考えつつ、それでも美味しいからいいか、と思ってしまう。
冬の間に固まってしまったはちみつが、トーストの熱でとろりと溶けていく。
案外パンの中はとろとろで、一日も漬け込まなくていいんじゃないかと思えてしまう。
食べ終わったお皿もそのままにベッドに戻る。
何もしなくていいのか。何もしなくていいんだ。
そんな日が久しぶり過ぎて、ちょっと昨日まで無理だったんだと思う。
それなのに今日もまた、あそこに行っている同期達は、何故耐えられているのだろう。
ずっとずっと分からないことだ。何もかもが違ってしまう。
昨日泣いていた子たちは大丈夫だろうか。
あの子たちも今日、行っているのに、私はこうして休めてしまう。
それが悪いこととは思わないけど、ちょっと呆れてしまう。
呆れる、ということは私はまだ私に期待しているのだろうか。
それはなんだか甚だ滑稽に思えた。
カーテンがそよいで、風が入ってくる。
何となく学校を早退した日の午後を思い出した。
心地よさに任せて目を閉じる。私はどこまでも私だ。