食べ物と私

食べます。

秋が来たぞ!月見バーガー

用事が終わり、疲れ果ててコンビニに寄る。とてもじゃないが今から晩御飯を作る気力はない。腹は減った。

 

午後7時のセブンイレブンで、同居人に電話をかける。私の食べたいものと同居人の食べたいものは違うから。

しかし、電話口から思わぬ提案。

 

「今からマック持ち帰りしようかと思ってて……」

 

その声を聞いた瞬間、思い浮かんだのは先日食べ損ねた月見バーガーである。

予定変更だ。

私は速攻で月見バーガーのMセット、サイドはポテト、飲み物は白ブドウとオーダーし、電話を切った。

 

私はそのままアイスを二つ買い、目当てである『ONE PIECE』のクリアファイルをゲットしてセブンイレブンを去った。ちなみに私の推し、ロロノア・ゾロはもう居なかった。

 

前にマックについて書いた通り、私は『月見バーガー』を毎年食べている。

理由はよく分からない。美味しいのは間違いないのだが、特段味にハマっているという訳ではない。なんなら卵が入っていることくらいしか分かっていない。

 

友達に『てりたま』の熱狂的ファンがいる。

毎年その子が上げる、てりたま食べた報告のインスタグラムを見て「あぁ、春だ」と思う程なのだが、もちろん、私はそこまで月見バーガーを大事に出来ていない。

なんなら発売日を間違えていたほどだ。

 

じゃあなんで、月見バーガーを頼んでしまうのか。

多分だが、私はきっと名前に惹かれているのだ。

 

月見バーガー月見バーガー

お月見なんてしたことないくせに、帰り道にもろくに月なんか見上げないくせに、そもそも視力が落ちて肉眼じゃ、もうよく見えないくせに、秋らしくていい名前だ、なんて思ってしまう。

 

そう、秋らしいのだ。月見バーガーは。

 

期間限定商品にとことん弱い私と、ただでさえ一瞬で過ぎ去ってしまう、随分と曖昧な季節、秋。

その一瞬を知らせてくれるのに、月見バーガーは丁度いいのかもしれなかった。

 

帰宅すると、マクドナルド独特のあの匂いが鼻を掠めた。

用意されたチーズまみれの私の月。

そういえば今日の帰りも月を見なかったな、なんて思いながら手を洗った。

 

f:id:zenryoku_shohi:20210915221705j:image

 

準備を終えて席に着く。丁寧に紙をはがしつつ、すでに上下のパンがズレかけているハンバーガーにかじりついた。

 

ぷりぷりした卵の白身と、いつもの肉が私の口内を満たす。

ソースのせいだろうか、まろやかさの権化みたいな味だ。それでいてジャンキーな。

なかなか噛み切れず、存在を主張するベーコンを見て、そういえば入ってたっけ、なんて怒られそうなことを思った。

 

何はともあれ、今年の月見バーガーも達成したわけである。

開け放した窓から入ってくる涼しい風を感じ、明日は一瞬だけ月でもみようかな、などと、どうせ忘れてしまうような他愛もないことを思うのであった。