食べ物と私

食べます。

何が正解?夜のたこ焼き

喧嘩らしきことをした翌日。

私と元同居人はスーパーへ買い物をしに足を運んでいた。

 

昨日の言い合いの発端は、私が友達を優先したことだった。

さも決定事項のように言ったそれがどうやら気に食わなかったらしい。

 

しかし、そんなことを言われたって、私が元同居人のことを第一に優先する時期はとうの昔に過ぎたのだ。

今は自分のためだけに私は生きている。

しかもそのきっかけを作ったのは元同居人である。

 

手っ取り早く説明しようと、昨夜私は元同居人の前で、一年前に自分が書いた日記を朗読した。

すると、元同居人は撃沈。

どうやら想像以上の破壊力があったらしい。

私は一年前の文章に救われたのだ。

 

とはいえ、昨夜は私が素面、元同居人にだけかなりの酒が入っている状態だったので、余計に喉元過ぎればなんとやらかもしれないが。

 

喧嘩といえども、怒っていたのは一年前の私である。今はそれこそ怒る気力も関心もない。

そんなこんなで翌日の今日には通常通りの私達に戻って買い物をしている。

 

スーパーの横にあるたこ焼き屋の誘惑に打ち勝ちながら、たこ焼きの材料を買って帰る。

今夜はたこ焼きを作ろうと、私がそう言い出したのだった。

 

たこ焼きは作る工程や後片付けがちょっと面倒だけれど、たくさん食べられるし、それなりに楽しい。

タコを切りながら、生地作りは元同居人に任せる。

 

余談だが、たこ焼きにキャベツを入れるか否かという話になった。

私は入れる派だった、というか入れるのが正統だと思っていたのだが、たこ焼き粉の後ろには、キャベツなどとは一言も書いていなかったので、今回は入れないことにした。

 

やんややんや言いながらクルクルと可愛いたこ焼きを回していく。

ソースとマヨネーズ、ネギを散らせば完成だ。

 

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ビールを片手に、熱々のたこ焼きを一口で頬張る。

あまりの熱さに味わう余裕はなかったが、紅生姜がシャキシャキと効いている。

生地はとろとろ。なかなかに美味しい。

 

冷ましつつ、食べつつ、第二陣を作りながらまたたわいもない会話を始める。

 

変な気分だ。

昨日半泣きにさせた元同居人と、今はたこ焼きを焼いている。

 

つくづく分からないと思う。

これまでに色々あったりなかったりしてきたが、私はこの人ときっと結婚しないだろう。

それどころか同棲だってしたくない。私は出来るだけ独りで生きていきたい。

 

だからって一方的に冷たい関係のままでいるのは違うのだろうが、今はどうする気力だって湧かないのだ。

元同居人がどう思っているのか、それだってろくに測ることは出来ない。

 

生地が中途半端なところで無くなってしまう。

冷蔵庫に入れた、余ったたか焼き粉。

また使う機会があればいいと思う。