少し疲れて帰ってきた夜。
お風呂を済ませ、スマホを片手にごろごろとベッドに横になる。
けれど、目は冴えている。何となくハイになっている感じ。
一日中やりたいことをやっていたからか、日は沈みきっているというのに、私はまだまだ元気だった。
追撃のように、午後五時という変な時間にご飯を食べてしまったことを思い出す。
おまけに明日がお弁当の日だということも。
小腹も空いていることだし、あれをつくろう。
お風呂上りの温かい体で、冷蔵庫にあった野菜たちを根こそぎ取り出す。
使いかけのにんじん、キャベツひと玉、玉ねぎ一個。
根こそぎ、といいつつ思ったより無かったな、と思いつつ、それぞれを小さく切っていく。
キャベツはまず半分に切って、四分の一をざく切り、もう四分の一はサラダ用に千切りにしてしまう。
あとは切った野菜を鍋に入れ、少量の水、そして塩と共にしんなりするまで蒸すように煮る。
かさが減ったらそこにコンソメ、そして前、ミートボールスパゲティを作った時の名残、冷蔵庫にあったトマト缶を取り出す。
まずトマトを入れ、その後その缶を洗うように水を注ぎ、鍋に入れる。
食材は余すことなく。缶詰でもそれは同じだ。
後は煮込んで、忘れていた生姜を入れてしまえば、完成。
食べる直前に、ピザ用チーズを乗っけてみる。
最近、なんにでもこのチーズを乗っけるのがマイブームになりつつあるのだ。
もう寝なければいけない時間帯。
出来立て熱々のスープを、おそるおそる、一口。
トマトの酸味とコンソメのコクがふわっと香る。
しなしなになった野菜たちが優しく体を温めてくれる。
唯一パンチのあるチーズのおかげで、スープにしては満足感も高い。
うん。美味しい。あったかい。
スープは不思議だと思う。
温かい食べ物は他にもたくさんあるはずなのに、その他のどんな食べ物より、なんだかあたたかくなる。
一度に大量に作ってしまえることも嬉しい。
体にいい感じ、あったまる感じ、冷蔵庫が潤う感じ。
この辺が要因なのかもしれないが、なんにせよ、ほっとする。
高校の時も、冬場はいつものお弁当箱はお休み、かわりにスープジャーを持って行っていた覚えがある。
木造の公立高校は本当に寒くて、寒くて、たまらずスープジャーを買って、温かいものを入れてほしいと母にお願いしたのだ。
基本的に私は寒がりだった。
そして、そのスープジャーは今もこの家のキッチンにある。
最近は寒くなってきた。明日もこれが活躍してくれることだろう。
スープのお供はおにぎりかな。あ、海苔、あったんだった。
独り言のようにそう思う私を置いて、日付は更新されていくのだった。