食べ物と私

食べます。

厄日に甘味、ソフトクリーム

例えば赤信号に引っかかることが多かったり、ハンカチを忘れたり。

 

自分のせい、運のせい。

そんな何かの要因が重なって、なぜか悪い方へ、悪い方へと転がっていく、そんな日。

良くない日。何となく、ダメな日。

 

一時間だけさぼってしまおうと、昼過ぎにも関わらずすでに疲れ果てた心と体を引きずって歩く。

資料を作るつもりだったのに、どうにも力尽きてしまった。

図書館じゃ眠れなくて、文字を打つのも億劫だ。それ以前に頭に何も入ってこない。

こんな日はとっとと眠ってしまうのがいいのは分かっているのだが、そうもいかない。

一時間さぼれるだけマシだ。私は大人になってしまった。

 

以前、Twitterで色んな人をフォローしていた時、「浜辺でソフトクリームを売って大きな犬と暮らしたい」と、定期的に呟かれている方がいた。

 

浜辺、ソフトクリーム、大きな犬。

 

いいな、と思った。なんだか酷くのどかだ。

決して不可能じゃないのに、どこか非現実的なほどには。

 

きっとその浜辺では、停電して消えるものはないし、お金で困ることもない。

あるのは陽気な犬の鳴き声と、何でも許されてしまうようなあたたかさだけなのだ。

 

あまりにも、な、今日。

もしかしたら私は、少しでもその空間に触れてみたかったのかもしれない。

 

近くのコンビニで、ソフトクリームを注文する。チョコは好きだが、少しだけ白が欲しかったので、ミックスを選んで。

カップかコーンかを尋ねられ、一瞬迷うもコーンで、と答える。

利便性を考えればカップなのだが、それは今関係ないのだ。

 

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かなりシンプルなソフトクリーム。強欲な普段の私なら、絶対に買わない。

けれど、どうしたってソフトクリームを食べるべきだと、擦切った心でそう思ったのだ。

 

イートインスペースを見てみれば、いつもは空いているはずなのに、そこそこ人が詰まっていた。

仕方なしに、パーソナルスペースを保つために空けられた間のひと席に腰掛ける。

端っこの荷物、どかしてくれたら座れるのにな。

 

スプーンですくえばとろりと伸びる、冷たくてやさしいアイス。

舌にとけていくチョコとバニラに、なんとなく泣きたくなってしまう。

さくさくと安っぽいコーンを食べきってしまえば、束の間の逃避は終わりだった。

 

まだ甘えていたくてコーヒーに手を伸ばす。

しかし、入れ替わりで隣の席に座ったおじいさんが、体ごとこちらを向き、何かを飲んでいるのがちらりと目に入る。

これも仕方なし、私は追い出されるようにしてコンビニを後にした。

もう少しゆっくりしていたかったが、話しかけられる方が今は面倒だったから。

 

飲めなかったホットコーヒーで手のひらを温める。

どうかこれ以上、今日の私が殺されませんように。