食べ物と私

食べます。

策略的朝ごはん

どうにもやる気が出ない朝。

いや、朝というよりもう昼の時間帯だ。

ともかく私は毛布に丸まっていつもの定位置でうつらうつらとブルーライトを浴びていた。

 

冬になると眠くなるのは万人共通なのだろうか。

少なくとも私は酷く眠くなってしまう。

人間にも実は冬眠が必要なんじゃないかと最近は思っているくらいである。

 

とは言え、寝転んで一日を済ませていいほど暇なわけでもない。

学期末のこの時期、やらなければならないことは結構溜まっているのだ。

 

どうにか布団を跳ね除け、寒さを噛みつつとりあえず洗濯物を回してみる。

これで数十分後、強制的に動かなければならない理由が出来た。

 

そして流れ作業のように、そのまま天板を取り出した。

こういう寒くて動けない日は、簡単な朝ごはんに限るのだ。

 

かなり賞味期限の切れた食パンを一枚、取り出す。

最近は生活リズムがあまりにも合わないため、一人分の朝食を作ることが増えつつある。

 

パサついた食パンの真ん中をぐっと押し、窪みを作る。

その周りをマヨネーズで囲い、白身が溢れないよう、慎重に卵を落とす。

ここで溢れてしまったら後々始末が面倒なのだ。

 

仕上げに、マヨネーズで囲った部分にチーズを乗せ、そのまま天板に乗せ、オーブンへ。

 

目玉焼きを作ることさえ面倒な時の、お手軽カロリーパンである。

一つしかないIHのコンロ。

今日はフライパンに占領されることもないため、お湯を沸かしてみる。

 

スティックコーヒーを溶かせば、見栄えは豪華な手抜き朝食の完成だ。

 

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熱々なので、朝食と共に再生する動画を探しつつ、少しパンが冷めるのを待つ。

最近はナナオさんという、喋る系のYouTuberの方にハマっている。

 

広告を飛ばし終わったら、食パンを一口。

一口目から、ガツンとチーズとマヨネーズの味。どこかグラタンパンのようでもある。

一番熱い卵の黄身を気をつけて食べる。

いつもいい具合に半熟なのだが、だからこそ急いで食べなければ溢れてしまうのだ。

 

ヘーゼルナッツ風味と書かれていたスティックコーヒーも、甘くて美味しい。

 

糖分も脂質もタンパク質もきっちりおさえている。

ある意味スタミナ朝食だ。

 

食べ終わって口元を拭きつつ、また下がりそうになる瞼をこじ開ける。

目を覚まそうと燃料を入れたら、消化活動に勤しんで眠くなってしまうのだから、この体もかなり不便だ。

 

もう一度ベッドに戻ってしまおうかと考えた矢先、ピー、ピー、と電子音が私を呼ぶ。

そういえば洗濯物を回していたんだっけ。

策略は上手くいったらしい。

 

過去の私を少し恨めしげに思いつつ、本来戻るはずだったベッドの上にスマホを投げ捨て、私は洗濯物を回収しに廊下へ出ていくのだった。