頭がぼやぼやと覚めてくれない朝。
昨日出来なかったことたちを片付けてしまおうと、今日は外出することにする。
天気も悪く気が重いが、このままずるずると引きずってしまえばいつまでも外に出ない未来が見えるので、なんとか体に鞭を打つ。
今日は一際寒い。
普段はメイクをして学校に行くのだが、今日はその分の気力を自転車に乗ることに費やす。
せめて髪だけでもと整えながら、今日の朝、意地悪な先輩からリップを取れと言われた夢を見たことを思い出す。
眠りが浅いのか、最近は夢を見ることが多い。
昨日は何故か漫画の『彼岸島』に私と母、妹と祖母が四人で観光に行く夢を見た。
命は狙われなかったものの、祖母が敵を倒そうとしていたので肝を冷やした。
ネットに転がっている夢占いは当てにならないとは言うが、印象的な夢を見た朝はついつい検索してしまう。
当たっているかそうでないかはさておき、案外面白い。
夢の中のことを考えながら、自転車にまたがり、近くのイートインスペースがあるコンビニへと向かう。
あいにく家には朝ごはんがなかったので、ここで済ませてしまおうという算段である。
菓子パンコーナーを物色しつつも、ほぼ決めていたパンを手に取り、コーヒーと一緒にレジへ持っていく。
外で食べるから手があまり汚れないもの、かつコーヒーに合う甘くて、ボロボロ崩れないもの。
今日の朝ごはんはお手軽パンケーキとホットコーヒーだ。
この手のパンケーキは割とどのコンビニでも見たことがあるからありがたい。
一口食べると、思いの外厚い生地に少し喉を詰まらせそうになる。
しかし、中からとろりとした甘いメープルシロップと、しょっぱいバターがいい塩梅でとろけ出してくる。美味しい。
小さい頃、コンビニで朝ごはんを食べる機会はほとんどなかった。
田舎の家だ。そもそも最寄りのコンビニまで車で十分くらいかかる。
しかし、それこそ少し離れた祖母の家へ、朝早くから行く時は話が別だった。
途中、車でコンビニに寄って各自朝ごはんを買い、車で食べる。
休みの日に早起きをするのはあまり好きではなかったが、そんなちょっとした非日常が少しだけ楽しみでもあった。
それが数年後、こんなにコンビニ通いになるなんて思ってもみなかったのだが。
人間やっぱり周りが便利だと頼りすぎてしまうな、と思いつつ、まぁ頑張りすぎるよりはいいか、という結論に落ち着く。
コーヒーを三分の一だけ飲み、残りはリュックへとしまう。
ここからあとどれくらいで帰れるかは、私の力量次第である。
早く帰りたいな、なんて既に後ろ向きの思考に走りつつ、私は再度自転車にまたがるのだった。