食べ物と私

食べます。

ぐるぐる回るキャベツツナ

気分が落ちている。

色々なことを考えて、面倒になってしまった。

 

ノリのいい音楽が頭を通り過ぎていく。

酒と煙草と女の歌、麻薬の歌、商売人の歌。誰かに中指を立てた歌。

この歌詞に出てくる悪役みたいに、いっそ堕ちるところまで堕ちてみたい。

 

こんなに気分が落ち込んだきっかけは、まあ色々あるのだが、ひとつじゃないことが問題なのかもしれない。収拾がつかないのだ。

 

でも一つ確かなことは、自分が自分の中で拗らせているということ。

何かに悩む時、大体私は勝手に一人で悩んで、勝手に一人で自滅するのだ。

かなり面倒な性格だが、自己完結型なので許して欲しい。

 

思うに、私はこの期に及んできっとまだ誰かに、自分にさえ期待しているのだと思う。

堕落した人と考えてしまえばいいのだ。

色々なことを見下せば、とりあえず今だけは、少し楽になれる。

いつかのツケに怯えるだけで済む。

 

全部を脱いで、非情なまま、贅沢に一人で生きていきたいと思う。

寂しいだけなら、それでお似合いだとも思った。

 

でも結局、そんなことは叶わないわけで。

落ち込んだとて腹に何か入れなければならないから、今日も私は生きるために晩御飯を作っている。

 

作る、と言っても極限にまで簡単なものだ。

キャベツを雑に手でちぎり、ツナ、えのき、玉ねぎと炒め、醤油と塩で味付け。

最後にビールに合うように、胡椒を乱暴なほどにたらふくかけてみた。

 

料理名も分からない、私しか食べない、完全に私だけの料理だ。

 

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一口食べてみれば、キャベツの芯の甘みが広がる。

でもまだ葉の部分は青臭かった。

ツナとエノキは十分に旨味を含んでいて、玉ねぎも甘い。

胡椒は大正解だった。

半ばヤケになったようにビールをぐいっと流し込む。

 

ずっと透明でいたいと思った。

もう誰も私のことを知らないで欲しいとも。

あまり人を信じたくないような気持ちがする。

 

誰も私のことを知らなければ、私は身軽に、自由になれるような気がした。

逆に言えば、今は酷く縛られているような、窮屈感。

 

私を知っている人がいなくなる事がイコールになるとは限らないけど、楽になってしまいたいと思う。

だから逃げるようにこうやって口に物を運んでいる。

アルコールに溶かしたって、芯が浮き彫りになるだけって分かっているのに。

 

二杯目、久しぶりのレモン酎ハイ。

度数の高くて安くて甘い酒を飲んでみる。

完全に酔うための酒、一般的には良くない酒。

 

でも、今の心模様にはこれくらいが丁度いい。

 

お皿はすっかり空。

明日の心配もそこそこに、私はただ缶を傾けるのだった。