食べ物と私

食べます。

違う世界にハンバーグ

幼稚園、小学生からの友達2人と久々に会った。

元々近くに越してきていたのに、会う機会が無かったのだ。作らなかったと言った方が正しいだろうか。

少なくとも1年ぶりの彼女達。少しだけ緊張した。

 

小雨の中、あらかじめ調べていたお店へと向かう。

数年分の近況。積もる話は沢山あった。

少しだけ並んだが、待ち時間もずっと口を動かしていた。それなりに楽しかったと思う。

 

彼女達と過ごしたのは、中学時代が1番濃いだろうか。

多分、誰にとっても楽しくない、思春期の暗い時代。

その時の私と今の私は、当たり前だがずいぶん違う。

私は私が生きやすいよう、きっとその場で色々と変えているのだと思う。

だから、少しだけ、彼女達の目に今の自分がどう映っているのかが気になった。

 

案内され少し待っていると、美味しそうなメニューが登場する。

パンとハンバーグ。私1人では絶対に食べなかったオシャレなランチだ。

 

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ハンバーグにナイフを入れると、ほろほろと肉が崩れていく。

半熟卵入り、たっぷりのデミグラスソースが美味しい。

パンもほのかに甘くて柔らかい。

チーズソースやあんこはもちろん、デミグラスソースに浸しても美味しかった。

 

ゆっくりと食べ進めていくうちに、友達の1人がふと顔を綻ばせた。

そして、人生で色々なことがあったが、「今が一番幸せだ」と。彼女はそう言った。

その一言に祝福の声を上げながら、一方で確かな徒労感を覚えてしまう。

 

色々と違う世界だと思う。

どっちがいいとか悪いとか、そういうのはない。

でも私が見ている世界と、目の前に座る友達2人が見ている世界は、明らかに彩度を違えていた。

どうしてもモノクロが自分の方だと感じてしまうのは、きっと悪い癖なのだろうが。

 

悲しくはない。羨ましい気持ちも不思議と湧いてこなかった。

ただ、自分の立ち位置が分からなかった。

どういう表情をすればいいか。

以前、この子達の前で私はどんな顔をしていたか。

それが分からなくなる。

 

きっと、ずっと私は正直じゃなかったんだと思う。

頭が回り続けている感覚があった。

その時はそれで良かったから。

多分、そのツケが今に回ってきているだけなのだと思う。決して悪いことではない。

 

本当に、久々の空気だった。

楽しかったけど、何だかよく分からなくなってしまった。

 

帰り、電車の中でぼんやりと音楽を聴く。

楽しかったと笑っていた友達の真意を探ってしまう頭だって、随分久しぶりの体験だ。

帰りたくないような、どこにも戻りたくないような気がした。

翻弄されるまま流されてきた沢山の私は、きっと今泣いている。