食べ物と私

食べます。

正念場とモンブランプリン

正念場その二がやってくる前日。

ここ数ヶ月で一番憂鬱だった。

ここまで明日を願わなかったのは久しぶりだ。

 

既に準備は整っていたのにバイトを休み、同期たちとだべっていた。

家に帰ると色々考えてしまいそうだったから。

こういう時だけ友達を使って、私は本当に狡い。

 

暑さのあまりバスを使って家に帰る。

すっかりと陽は沈んで、ゆっくりと今日が明日になっていく。

たまらなく嫌だったし、なんなら反対にさっさと時間を進めたい気持ちもあった。

 

人前に立つことは得意じゃない。

プレゼンできるほど口が達者なわけじゃないし、資料の出来だって安いものだ。

私の発表で三十分もの時間を奪ってしまうのは、いささか申し訳なささえ感じる。

 

けど、振り返ってみればそんな気持ちとは相反して、人前に立つ機会は多かったように思う。

 

最もやらなきゃいけなかったのは中学生の時。

ガラじゃない生徒会に入っていたり、副部長だったり。

目立つのは得意じゃなかったし、率先して何かをやるタイプじゃなかった。

 

けれど今思い返してみれば、役割を与えられたこと自体は、多分、少し嬉しかったように思う。

他の子より出来るような気がしていた。

ちょっと驕っていた気もする。

 

どうかあの頃の意味のない優越感の十分の一でもいいから今に分けてくれるといいのだけれど。

 

出先でおにぎりを食べ、おにぎりを買ったそのコンビニで家に帰ってからのデザートを買った。

数日前に食べたチョコレートパフェに引き続き、気になっていたモンブランプリン。

 

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見た目が賑やかだと、食べる時だって嬉しい。

明日は頑張れよ、という意味で一口。

思ったより濃厚な栗のクリームと、あっさり目のプリン、スポンジが絡んでいて美味しい。

色々な味のクリームを楽しみながら、パクパクと食べ進めてしまう。

 

甘いものを食べると自分を鼓舞できるが、明日がどうなるかは本当に全く分からない。

頑張らなきゃいけないのに、頑張れない。

じっと我慢すればいいのは実質たったの十分間なのに、それが乗り切れる気がしないのは何故だろう。

 

ゆるく襲ってきた眠気に身を任せようと、寝支度を整える。

明日は終わったら飲みに行こうという話が出ている。

久々の飲み会で、少し楽しみなような。

一方でその楽しみにたどり着くための道のりが、とてもとても長いような。

 

バキバキに凝っている背中を伸ばし、腕を広げて横になる。

全身がゆっくりと疲れに弛緩していく中、最後に私はため息をつくのだった。