気づけばクリスマスだった。
こんなに年末感のない師走は間違いなく人生で初めてだと思う。
兎にも角にも追われている。主に精神的に。
台所に立たなく、立てなくなってから数ヶ月。
そんなに持っていないくせに金に物を言わせ、どうにかこうにか今日まで過ごしている。
そのせいか、胃が弱くなったような気がする。
主に飲み会の次の日が大変なのだ。
頭が痛いとか吐きそうとか、そんなことにはならないのに胃がやられる。食べ過ぎるのもそうだ。
少し前はそんなことなかったのに。
それでもアルコールだけは健在で飲み続けているあたり、ストレス度合いも察することが出来るだろう。
また選ばなければならない時期だった。
ひょっとしなくても、選ばれる側なのかもしれない。
周りの皆は私が思っているより素直で、とても真剣に生きていると思う。
何というか、明確だ。
そう見えるだけなのかもしれないが、ちゃんと自分の請け負った責務を自覚している。というか、自ら責務を背負に行っているような。
その度に私はどうだろう、なんて思ってみるのだ。
好きなことで生きていきたいな、なんて思う。
けどそこは全力を出すことが怖くて仕方ない。だって私の核であり弱点だ。曝け出すことは死にに行くのと同じだった。私は私のことが可愛くて仕方がない。
だから適当なことをしてしまいたいと思う。
何も考えず感情を無くす。
誰でも出来る、単純なことを。そう思ってパソコンを開く。
頭では分かっている。だって皆が皆、命をかけて生きてるわけじゃない。
だから、私もそれでいいような。
はたまた酷く、酷く狡くて悪いことをしているような。
こんな年になっても、結局私は何も分からないままだった。
とはいえ、そうやって悶々としていたところで日は巡ってしまう。
せっかくのクリスマス。
とりあえず何か食べてやろうと決意してピザを頼んだ。人生初めてで夢だった、独り占めできるピザだ。
しかもケーキもどきのデザート付き。
ピザ会社は沢山あったが、このデザートがあることが決め手になった。
先程まで胃が死んでいるなどと宣っていたじゃないか、という自分へのツッコミは置いておく。
いつになっても多分、欲望だけは忘れちゃいけない。楽しむ術を無くしたら、そこできっと糸がちぎれてしまうから。
早くこんな日々が終わればいいと思う。
長くこんな日々が続くように生きている。
目を閉じる。
チキンも頼んでおけばよかったかもしれない、などと呑気なことを思いながら、ゆっくりとピザを待っている。